[2011/167min/35㎜/カラー]
制作:空族/『サウダーヂ』製作委員会
エグゼクティブ・プロデューサー:笹本貴之 プロデューサー:伊達浩太朗/富田智美
監督:富田克也 脚本:相澤虎之助/富田克也 撮影:高野貴子 録音・音響効果:山﨑厳
助監督:河上健太郎 編集:富田克也/高野貴子
【出演者】
鷹野毅・・・堀精司
伊藤仁・・・保坂/ビン
田我流(from stillichimiya)・・・天野猛
ディーチャイ・パウイーナ・・・ミャオ
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【イントロダクション】
『土方、移民、HIPHOP 『この街で一体何が起きている?!』
不況と空洞化が叫ばれて久しい地方都市。“中心”街。シャッター通り、ゴーストタウン。それがアジアNO1の経済大国と呼ばれた日本の地方都市の現状である。しかし街から人がいなくなったわけではない。崩壊寸前の土木建築業、日系ブラジル人、タイ人をはじめとするアジア人、移民労働者たち。そこには過酷な状況のもとで懸命に生きている剥き出しの“生”の姿があった。街そのものをテーマに、実際にそこで生活している人々をキャスティングしてつくられたこの作品には、これまで日本映画ではあまり描かれる事の無かった移民たちの姿が描かれている。特に100年前に日本からブラジルに渡った日本人の子孫たちのコミニティは国内において大きな規模を成している。移民の問題は世界的な課題であり、そこでは差別や経済格差、文化間の衝突は避けられない。
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【ストーリー】
山梨県・甲府。変哲の無い街。人通りもまばらな中心街、シャッター通り。不況の土木建築業、その中に日系ブラジル人•タイ人をはじめとする様々な外国人労働者たちがいる。HIPHOPグループ「アーミービレッジ」のクルー•猛は“派遣”で土方として働き始める。両親は自己破産しパチンコに逃避、家庭は崩壊している。弟は精神に異常をきたしていた。
猛の働く建設現場には多くの移民達が働いていた。そんな中、猛は現場で土方ひとすじに生きて来た精司や、同じく派遣されてきた、タイ帰りだという保坂に出会う。仕事帰りにタイパブに連れて行かれる猛。楽しそうな精司とタイ人ホステスのミャオ。盛り上がる精司や保坂に違和感を覚え、外国人を敵視する猛。
一方、精司の妻の恵子は、セレブな客•由美に誘われ、怪しげな水を売る商売に手を染め始める。精司はタイ人ホステスのミャオにのめりこみ、いつしか全てを捨ててミャオとタイで暮らす事を夢想しはじめる。しかしミャオはタイに離れて暮らす家族を支えるために日本で働き続けなければならない。追い詰められ、廃業する下請け。この街に見切りをつけようとする保坂。
“saudade” 一言では説明できないポルトガル語。郷愁、情景、憧れ。そして、追い求めても叶わぬもの。
不況が深刻化し、真っ先に切られる外国人労働者たち。住み慣れた日本を離れ、遠い故国に帰るしかないのか?彼らは働き、子供を育て、この国で生きてきた。彼らの故郷はこの国、この街なのだ。無視される叫び。すれ違い、交差する思い。
苦難を忘れる束の間の喜びのとき、彼らは集い、歌い踊る。その移民たちの交歓の輪の中に、猛のかつての恋人、まひるがいた。日系ブラジル人デニス率いるHIPHOPグループ「スモールパーク」の存在を知る猛。まひるは彼らとの共生を信じ、猛は否定することで自分で支えようとする。そして日本人と日系ブラジル人二つのHIPHOPグループが競い合うパーティーの夜が始まる…。
1972年山梨県甲府市生まれ。東海大学甲府高等学校卒業後、音楽の道を志し上京。音楽活動に出口を見いだせず映画を観まくる日々、いつしか自身で映画を撮りたいと思うようになる。都内で配送業に従事しながら、製作期間5年、上映時間140分の処女作『雲の上』(8mm) を2003年に発表。監督、脚本、編集を自ら手がけたこの作品は「映画美学校映画祭2004」の最優秀スカラシップを受賞。この賞金を原資に『国道20号線』(16mm/77min)を製作し2007年に発表。同年10月に甲府の桜座で自主上映会を開催後、東京渋谷UPLINK Xにてロードショー公開。2008年に入り単館系劇場にて全国公開された。「映画芸術」誌上にて2007年日本映画ベスト9位選出、映画界に波紋を呼び、文化庁の主催する日韓映画祭を含む国内外の映画祭で多数上映されてきた。
B級ツアー(日本編)「あの鐘を鳴らすのは、、俺」
ニュースとして駆け巡った仏ナント三大陸映画祭の最高賞受賞作映画「サウダーヂ」で主演を務め、更に全国ライブ行脚を経て、一宮の1MCから今や日本を代表する表現者へと成長を遂げた田我流(でんがりゅう)。自身の中を流れる「泥の河」の蓋を開け、とことんまで自分と向き合った末に産まれた問題作「B級映画のように2」を発表し、やべ~勢いをそのままに「B級ツアー(日本編)」を敢行!時代の代弁者として、その言霊に込めたエネルギーで聴く者を震わせ、心を奮い立たせる熱いライブをかます男の、キャリア初のワンマンは見逃せない。
田我流は山梨県一宮町をベースに活動するMCである。高校時代にHIP HOPの洗礼を受けMICを握り始めると、高校卒業後の2001年に武者修行のため、アメリカ・ニュー ヨーク州へ留学。そこでHIP HOP以外にも沢山の魅力的な音楽がある事を知り、サイケバンドでギターを担当するなど様々な音楽の可能性を探求する。そして一人の黒人青年との出会いによって再びHIP HOP、そして生の黒人文化を体験し再びリリックを書き始める。アメリカ留学中に様々な経験を積み2004年に帰国。地元一宮町の幼なじみとラップグループ、stillichimiyaを結成。クルーとして二枚のアルバムと一枚のミックスCD、一枚のEPを制作した。またクルーの活動と平行してソロMCとして のライブ活動や、楽曲制作を積極的に行う。2008年にファースト・ソロ・アルバム「作品集~JUST」を自主製作し、発表すると、HIP HOPだけではなく様々な方面から賞賛を受ける。その後、ラップだけでなく表現者としての活動の幅を広げ、2011年公開された富田克也監督作品 「サウダーヂ」では、映画初出演ながら主演を務めるなど、表現力を磨き続けている。2012年4月11には待望のセカンド・アルバム「B級映画のように2」をMary Joy Recordingsより発表。田舎独自の観点、またありのままの日本人としてのRAP STYLE、問題提起にこだわり、実験的かつストレートな音と 表現に乗せて吐き出される田我流の音楽は音楽の核、SOULという一言に回帰する。
魂に響く映画として、仏ナント三大陸映画祭の最高賞受賞というインディーズ映画としては異例の快挙、さらに各地の映画祭でも口コミから空前の評判を呼び、日本全国で異様な熱気を帯びた上映が続く映画『サウダーヂ』!
今宵はその映画で初主演をつとめたstillichimiyaの田我流(でんがりゅう)の新作『B級映画のように2』のリリースパーティーを記念して、第一部[メトロ大學]で、映画『サウダーヂ』上映会を開催します!!!
ヒップホップのリズムに乗せて、地方都市で暮らす若者達の閉塞感をリアルに描き、現代社会が抱える問題に真っ正面から挑んだ問題作!是非ご覧下さい。