幼少期より長く過ごしたブラジルで自身の環境を取り囲む音楽を吸収し、実験音楽とポップスを精巧に融合した音楽を生み出すアート。70年代後半にダウンタウン・ニューヨークで結成した前衛バンド「DNA」はニューヨークのみならず世界中の実験音楽シーンに多大な影響をもたらし、ブライアン・イーノプロデュースによるコンピレーションアルバム「No New York」のリリースを機にノーウェーブのムーブメントを代表するバンドとなった。DNA解散後はサクソフォーン奏者ジョン・ルーリー率いるジャズバンド「The Lounge Lizards」に参加し、またキーボード奏者ピーター・シェラーと「Ambitious Lovers」を結成し、徐々に自身のルーツでもあるブラジル音楽の要素を取り入れ始める。80年代後半からはカエターノ・ヴェローゾ、ガル・コスタ、トム・ゼなどトロピカリアを代表するアーティストのプロデュースも手掛け、日本においても坂本龍一、コーネリアス、テイ・トウワなどアーティスとの共同作曲を発表。「The Subtle Body」を筆頭に、90年代に入ってからは計6枚のオリジナル・ソロアルバムを発表。またニューヨークのアートシーンにも常に深い関わりがあり、ジャン=ミシェル・バスキア主演の映画「Downtown 81」への出演を始め、現在に至るまでデヴィッド・バーン、マシュー・バーニー、リクリット・ティラバーニャ、ローリー・アンダーソン、ヴィト・アコンチ、アニマルコレクティブなど数多くのアーティストとのコラボレーションを行っている。
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1959年横浜生まれ。音楽家。十代を福島市で過ごす。常に同時進行かつインディペンデントに即興演奏やノイズ的な作品からポップスに至るまで多種多様な音楽をつくり続け、その活動範囲は世界中におよぶ。映画音楽家としても数多くの映像作品の音楽を手がけ、その数は70作品を超える。近年は「アンサンブルズ」の名のもとさまざまな人たちとのコラボレーションを軸に展示する音楽作品や特殊形態のコンサートを手がける。また障害のある子どもたちとの音楽ワークショップや一般参加型のプロジェクトにも力をいれている。2011年の東日本大震災を受け、遠藤ミチロウ、和合亮一とともに「プロジェクトFUKUSHIMA!」を立ち上げる。2012年芸術選奨文部科学大臣賞芸術振興部門を受賞。2013年NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」の音楽を担当。著書に『MUSICS』(岩波書店)、『シャッター商店街と線量計』(青土社)など。
Photo by 森下綺音
この度、京都Club METRO25周年を迎えさせて頂くにあたり、この25年の歩みの中でも最も大きな出会いであり、その衝撃と感動からメトロの本当の歴史が始まったと思えるほど大きな影響を受けたアーティスト「アート・リンゼイ」、そしてずっと指針とさせて頂いている「大友良英」、メトロ最高名誉顧問のお二人に対決して頂くと言う、この上ない果報をさせて頂ける事になりました!
ニューヨーク前衛音楽シーンの最重要人物、ブラジリアンミュージック界の名プロデューサー、坂本龍一やコーネリアス、相対性理論ら日本のミュージックシーンとの結びつきも深いキーマン、ポップミュージシャン、ノイズ・ギタリスト、サウンド・インスタレーション・アーティスト、NY現代アートシーンの生き証人‥‥‥。いくつもの顔を持ち、そしてどんな肩書をも軽々と超越してしまうARTO LINDSAY。昨年秋、10年振りの京都メトロ公演は、待ち焦がれたファンの思いが溢れソルードアウトになる程の大盛況で、NYアンダーグラウンドの知性とブラジル音楽の豊かさの混沌、それらを美しく破壊するノイズ・ギターの咆哮、その止むことのない実験精神にあふれた一生モノのLIVEでした。
そして日本を代表する音楽家として、即興、ノイズ・ミュージックの第一人者であり、映画やドラマの音楽を数多く手掛け、プロジェクトFUKUSHIMA!やアンサンブル・アジアなど、世界を股に掛け奔走し続ける大友良英。音楽の可能性、文化の可能性、人と人が繋がる場の可能性を押し拡げ、発信し続けるその一貫した姿勢は、文化の力を信じる人々に多くの感銘と勇気を与えています。
この2人がステージで相見える時、一体どんな音楽が響き渡るのだろう。音楽の豊かさ、ふくよかさ、遊び心、そしてそれを破壊する美しさ。何故、人は音を鳴らすのか、何故、音楽は人の心をとらえるのか? 是非、お二人の音楽に出会いに来て下さい。